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ミャンマーと聞いて何が思い浮かぶだろうか?
正直言って僕はアウンサンスーチーさんと少し前までほぼ鎖国状態だった事しか知らなかった。
謎過ぎるミャンマー。
一体ミャンマーに何があると言うのか…
好奇心を駆り立てられた僕はとりあえず現地へ行って自分の目で確認する事にした。
ありがたい事に2018年10月から一年間、日本人はビザ無しで入れる様になったという事もミャンマー行きを後押しした。
カンチャナブリへ戻る車内が相当暇だった僕は明日からスムーズに動ける様大まかな情報を収集して過ごした。
2018年12月現在、陸路で入れる箇所は北部から
・メーサイ🇹🇭⇄タチレク🇲🇲
・メーソート🇹🇭⇄ミャワディ🇲🇲
・プーナムロン🇹🇭⇄ティーキー🇲🇲
・ラノーン🇹🇭⇄コ―タウン🇲🇲
旅人の間で1番王道なルートはメーソート⇄ミャワディ。
バンコクからヤンゴンへ向かうのに1番近い為、恐らくミャンマー⇄タイ間における陸路国境越えの8割近くはココを通過するのではないかと思う。
僕もココを通ってミャンマーに入国しようとしたがカオレム帰りに行くには少し遠いのでカンチャナブリから近いマイナー国境プーナムロン⇄ティーキーを越えて行く事にした。
ここは南部経済回廊と呼ばれるベトナムからカンボジア、タイを通りミャンマーまで繋がる将来物流の大動脈となるルートだ。現在舗装路はタイ国境側プーナムロンまで続いていて後はミャンマー側の舗装待ちみたいな状況。その未舗装路の先にはインド洋に面したダウェイという町がある。ここは経済特区に指定されており今後深海港が建設される予定だ。
南部経済回廊の全面開通とダウェイ経済特区の深海港が開港すれば今までインドシナ半島を大きく迂回していたヨーロッパ、中東からタイ、カンボジア、ベトナムへの物流が大幅にショートカット出来るようになる。この越境物流システムが本格稼働すればメコン地域全体に多大な経済効果が期待できるという代物だ。
現段階では前述の通り未舗装路で結構な悪路に加え少数民族による検問で金銭を要求されるかもしれないという少し物騒な話だったが面白そうなのでココを通ってみようと思った。ダメなら引き返してメーソートから入ればいいし、まだ発展する前の「イマ」を見るいいチャンスだと思った。
と言うわけでミャンマー開拓の一歩目は南部経済回廊の西の端ダウェイに決定。
治安についても民主化されたし国境も開いているんだからロヒンギャの件で揉めているバングラ国境にさえ近付かなければ概ね安全だと思う。
時を同じくしてたまたまミャンマー北部で奮闘していた友人の加藤さんも暇だからという衝撃的理由で南下して来る事になった。世界有数の遺跡や希少な文化を残すミャンマーを旅していて暇だからとは全く無礼なおじさんだ。けしからん。
こうして僕達は「じゃその辺で!」というアバウトな約束をし各々ミャンマー南部の町ダウェイを目指す事になったのである。
昼過ぎにカンチャナブリに到着。
とりあえずミャンマー入国に関して1番注意したいのが両替だ。
1チャット約0.07円。
現地で日本円からチャットへ両替できる場所はヤンゴンの一部を除いてほとんど無いとの事なので事前に米ドルを用意する事をお勧めする。僕の場合はタイから入るのでバーツを幾らか持って行き足らなそうな分はキャッシングし銀行でドルへ両替しておいた。
そしてこれが一番厄介なのだがチャットへ両替する米ドルは折り目が付いていたり落書きやスタンプなどが押してあると両替を断られたり低いレートを提示される事がある。要するにピン札のまま持参しなければならないという事だ。
更に高額紙幣、例えば100ドル札は問題ないが50ドルや10ドルなどを両替しようとするとこれまた両替を断られたり低いレートを提示される事がある。
最高にめんどくさいのだ。
もし行かれる方が居たら注意してほしい。
恐らく現地でキャッシングするのが一番簡単だ。
一通り準備を終え、バスターミナルから少し離れた欧米人が好きそうなエリアへ。
通りをフラフラしていると酔っ払った欧米人カップルが通りでスケボーしている。ヨロヨロして危ないなぁと思ってたら目の前でスケボーのお姉さんが車に轢かれた。幸い大した事なかったらしく懲りずにまたスケボーに乗って去って行った。
歩いて宿へ戻る途中広い墓地があった。
立ち止まり手を合わせ帰宿した。
翌朝
昨日、国境への便はロットゥー乗り場で朝6時から頻繁に出ているという情報を得ていたので朝6時半ごろ乗り場に行くとプーナムロンまではミニバスしか出てない。一番早い便で9時出発だ。との事。
全然言ってる事違うじゃん。
無駄に早く起きちゃったよ。
こういうのは日常茶飯事なのでもはや怒りも湧かなくなった。向こうが適当ならこちらも適当になればいいだけだ。
後2時間以上待ち時間があるのでチケットだけ買って朝御飯を食べに行く。
宿の近くにあった美味しい匂いを漂わすバミー屋さんに入った。
旅中頭から離れなくなる程の中毒性があった。
とても仲が良さそうで朝からほっこり。
ここには絶対また来たい。
朝のカンチャナブリを散歩しバスターミナルに戻ってくると一台のバスが停まっていた。
乗り込むと乗車率は100%
かなり快適なミニバスに揺られる事約1時間強。
プーナムロンボーダーに到着。
プーナムロン⇄ティーキーの間には緩衝地帯として数キロ程何もない区間がある。
歩いて行けなくもない距離だが何か乗り物を捕まえた方が無難だ。
今回は出国手続きをした後すぐにバンが停まっていたのでティーキーまで行くか?と聞いたら100バーツと言うのでコレを使った。
多分カンチャナブリからのバスの着時間に合わせてティーキーとの間をピストンしていると思われる。
緩衝地帯の始めは特に変わった様子もなく快適な舗装路が続いていたが途中からいきなり未舗装路にかわりミャンマーサイドの検問が現れた。
両国の格差が垣間見える瞬間だ。
陸路国境越えの醍醐味はこの変化をダイレクトに肌で感じられる事だろう。
この国境周辺の何とも言えない空気感が僕は好きだ。
パスポートを渡し検問を潜るとそこはミャンマーサイドの国境の村ティーキー。
早速イミグレーションで入国手続き。
中に入りパスポートを手渡すと入国審査官から「VISAはどうした?」と指摘を受けた。
僕は慌てて日本人は今年の10月からVISAが不用な筈だと訴えた。顔をしかめる審査官。
すると奥から「No problem」と言ってひとりの老人が出て来て僕の対応をしてくれた。助かった。
まだ施行されたばかりとは言えあまり浸透していない様子を見るとここを通る日本人はごく少数なのだろう。
Hello Myanmar🇲🇲
無事入国を果たしたからと言ってのんびりしている暇はない。
既に昼に差しかかろうとしている。
ここからダウェイまで4〜5時間。公共の交通手段は無く、自分でダウェイ行きの車を捕まえなければならない。昼を過ぎるとダウェイへ向かう車が極端に捕まりづらくなるらしいので村中を歩き回りミャンマー側に向かいそうな車を探したがどの車もタイ側に向かう様子で見つからない。
近くの商店に助けを求めようとしたが…
炎天下の中、村を彷徨い段々どうでもよくなって来た僕は目に付いた商店に入りビールを飲む事にした。
気持ちが落ち着いて来た所で商店の娘さんに「ダウェイに行きたいんだけどどうしたらいい?」と問うと「知り合いのドライバーに聞いてあげるわ」とありがたい回答。
程なくして現れたドライバーの男に料金を尋ねると700バーツとの事。後30分後に出るから待ってろというのでビールを飲みながらダラダラと待った。
約束どおり30分後に現れたドライバーは僕の顔を見るなり「今日ダウェイに行くのはお前一人だ。700バーツでは元が取れない。あと500バーツくれないか?」と来た。
500は高いと言うと300で手を打ってくれと来たのでトータル1000バーツで了承した。
相場的にもそんなものだろうし旅人の癖で反射的に値切ってしまうが普通に考えて4時間の道のりを車1台チャーターして1000バーツは安過ぎるくらいだ。
何はともあれ夕方にはダウェイに抜けれそうだ。
と言うか一緒にカンチャナブリから来たあの20人位はどこへ行ったのだろうか?そんな事をドライバーに尋ねてみるとみんなVISAランじゃないか?との事。なるほどね。
彼の名前はニニ。
ダウェイ在住で朝ダウェイからティーキーへお客を運び、昼にティーキーからダウェイへ戻ってくるサイクルをしている。戻りの客がいない時はティーキーで一泊する事もあるようだ。
道は評判通り決して快適とは言えないレベルだった。
タイとミャンマーの国境地帯はジャングルなのだが平坦なジャングルではなく起伏がかなり激しい山岳エリア。こんな所に道路を敷くのはかなりの手間が掛かりそうだ。
食事を終えたら即リスタート。
釣れる魚が付近にいるか確認すると多分釣れるんじゃないかと言う返答が帰ってきた。川に面した通りを走りながら途中途中降りて付近を撮影。
ちょっと寄ってもらって釣りしようか迷ったけど日が暮れる前に町へ抜けたかったのでまた明日来ればいいやとはやる気持ちを抑える事にした。
パスポートを渡しに行ったニニの様子を遠巻きに見る感じトラブるとかなり面倒そうなので早めに車内へ戻り大人しくしていた。
無事検問を抜け少し走ると中継の町へ入った。
この辺りから舗装路に変わりスピードアップ。快適だ。
もう少し。
ティーキー出発から約5時間。
町中に入っていくと狭い通りの割に結構な交通量。車と車の間を多数のバイクが縫って走り、常にクラクションが鳴り響いている。
側から見ているとこれでよく事故が起きないなぁといった感じ。そんな事を思っていると対向車線からはみ出してきた一台のバイクが結構な勢いで僕らの車に接触。バイクは僕の乗る助手席側に当たりそのまま逃走。降りて見てみるとかなりガッツリ凹んでいた。カオスだ。
久しぶりにお湯が出るホテルですこぶる快適だ。溜まっていた洗濯物を一気に片付け付近を散策しに出掛る。
ミャンマービールは道中で飲んだので違うやつを買ってみた。
700チャット(約50円)
名前のスーパー感に惹かれて購入。
アルコール度数6.5%とアジア諸国のビールにしては結構パンチがある。ラベルのカジキがカッコイイ。
夜はホテル近くのビアガーデンっぽい所で夕食。
メニューをパラパラめくるとあるページで手が止まった。
羊脳と書いてある。読んで字の如く羊の脳なのだろう。一体どう言う調理がされて出てくるのか気になったがかなり危険な香りも感じる。
明日からのことも考え大人しくタミン・ジョ(ミャンマー風炒飯)を掻き込み早めにホテルへと戻った。
わくわくしてきた。