ミャンマー開拓旅#1 タイ編〜旅の起点〜 – Expedition!!←最初から読む
ミャンマー開拓旅#3 タイ編〜再会〜 – Expedition!!←前回のお話
カオレムに朝が来た。
肌寒い空気の中、水シャワーを浴びホットコーヒーで温まりながら釣りの支度。
今日はトゥイと国境近くの渓流へと向かう。
実は僕、渓流釣りはこれが初めて。
前から興味はあったけど僕の地元の千葉には渓流釣りが出来る所は無くなかなか始めるキッカケが無かったのだ。
まさか渓流デビューがタイになるとは思ってもみなかったな。
話では徒歩で5km程遡上するとの事。果たして本当に5kmで着くのだろうか。
前半はジャングル内をトレッキング。
しばらく歩くと川が現れた。
ルアーを結びいつでもキャスト出来る準備をして更に川を遡る。いくつも枝分かれして複雑に流れている川を見てコレ迷わないで帰れるの?と思っていたら遡上ルートには木に目印を付けているから安心しろ。イージーだ。と頼もしい回答。
不安も払拭され、小規模な滝をいくつも越えてグングン奥へ進んでいく。
最初こんな暑い中歩き回ったら死んじゃうでしょ!と思っていたけど常に水に浸かっているからかなり快適だった。
少し歩けばすぐに美味しいポイントが出てくる中で一際良さそうな岩の絡む場所へスプーンを送り込む。
表層をヒラヒラと巻いていると背後に黒い影が追尾。
リトリーブスピードをアップすると堪らず食い付いてきた。
ブルーマシール(Neolissochilus stracheyi)
可愛いサイズだけど何年も前からずっと釣りたい魚だったのでとても嬉しい。
マシール系は鱗がとっても綺麗で大好きだ。
こんな感じの滝がいくつもいくつも無限にある。
良さ気なポイントには必ずと言っていい程魚が付いており何かしらの反応を得ることが出来た。
追加でもう一本。
カスープも沢山いた。
トップにも反応があり調子が良さそうだ。
更に奥へと進むと一気に水深が深くなっているエリアが現れた。透明度は比較的高いが底は見えない。1番深い場所に大きな岩が入っている。居るとすればこの大岩の下なのは明らかだ。
大岩の上流側へキャストし流れに乗せながらヒラヒラと巻いてくると大きな黒い影が一瞬大岩から飛び出した。ヒットには持ち込めなかったがルアーに触っていないのでまだチャンスはある筈。
少し時間を置いて今度は大岩をかすめる様に早巻きすると再び黒い影がルアーを襲った。
狭いエリア内には岩や倒木などがあり、あまり走らせられる状況ではないのだがそんなのはお構い無しに走り回るマシール。
うわぁぁぁ!
変な所行かないでくれよおおぉぉぉ!
その願いも虚しくしばしの格闘後、沖に走って行ったマシールはそのまま倒木に突っ込んでいった。
あぁ…巻かれた…
引っ張ってもウンともスンとも言わない。
時折ズズ…ズズ…とラインが引っ張られているので魚はまだ付いている様だ。
するとトゥイが「ちょっと待ってろ!」とスイム体制に入った。
そのまま水中へ飛び込みラインを辿りロックを解除。無事ランディングすることが出来た。
やったああああぁぁぁぁ!!
初めての渓流で満足サイズのマシールが釣れた!!
最高だああぁぁ!!
ブルーマシール釣れたらいいなぁ…なんて漠然と思って此処までやってきたけど最高の形で釣ることが出来た。
トゥイありがとう!
君が居なかったら釣れなかったよ!!感謝しかない!
その後少し遡上しキリがいい場所で道具を片付け来た道を戻る。
大満足な結果に二人とも会話が弾む。今日は美味い酒が飲めそうだな。
そんな事を思いながらニヤニヤ歩いていた矢先、突然立ち止まり「僕達今どこにいるんだろうね?」と言い出すトゥイ。
会話に夢中で気付かなかったがそう言えばこんな風景見た事がない。
既に川からも外れていた。
ちょっと待ってくれ。確か君さっき言ってたよね?
「遡上ルートには木に目印を付けているから安心しろ。イージーだ」
「イージーだ」
「イージーだ」
全然イージーじゃねぇwwwwww
むしろ年中ニヤニヤしながらイージー!イージー!言ってる万年楽天家トゥイくんガチ真顔なんですけどw
地元の君がその顔しちゃダメだろよwww
ナ「ライト持ってきた?」
トゥ「無い。」
ナ「マジwww」
既に夕刻が迫っている。あまり迷い過ぎると途中で日が暮れる。国境地帯で遭難はなんとしても避けたい。もちろん携帯は圏外。加えて熊が生息しているらしい。
ヤバ過ぎていまいち頭の整理がつかないが、とにかく歩き続けなければ不味い。
道無き道を草や枝を掻き分けヘヴィ藪漕ぎ。
しばらく進むと濁った川の様な道の様な場所へ出た。
トゥイ「この場所は知ってる。帰り道はこっちだ!反対側に行くとミャンマーまで行っちまうぞ!しかも20km先だ!わははは!危なかったな!さぁ帰るぞ!!イージーwイージーwww」
何はともあれ助かった様だ。
道は酷くぬかるんでいて歩き難い。その内登り坂になり水は引いたがアップダウンが激しく1日釣り歩いた身体にこたえる。
これどこまで行くんだよ…。
目の前に現れた急坂に絶望しているとどこからともなくバイクのエンジン音が聞こえる。
人だ!
助かったぁぁぁ!!
トゥイ「後どれくらい歩けば抜けれる?」
バイクの男「いやいや。そっちはミャンマーだ。タイは反対側だぞ。」
トゥイ&ナベ「 wwwwww」
危険だ…危険過ぎる。
トゥイくん危険人物過ぎるってw
マジでバイク来なかったらどうなってたんだよ俺たちは www
その後山を数個越えなんとか宿まで帰ってきた。
疲れたぁー!
ビールビール!!
キンキンに冷えたビールを飲み干しチェーが仕掛けたトラップに沢山掛かっていたエビを餌に釣り開始。
頻繁にアタリがある訳じゃないので飲みながら拙い英語であーでもないこーでもないと釣り談義。この辺は世界共通だね。
時折リンリンと鈴がなり魚がヒットする。
Pla-ta-pean(Barbonymus gonionotus)
釣り以外にも家族や友人の話も沢山した。トゥイにはカレン族出身の英語ペラペラの彼女が居る様で明日シンガポールから戻って来るそうだ。
そういや明日はクリスマスイブだもんな。
楽しい宴は深夜まで続いた。
明日は朝から湖上の人だ。