-4日目-
アラパイマを狙った一泊二日のキャンプが始まる。
前回既に釣っている塾長は別行動でナマズとカエル探しの旅に出た。
上野さん、里見くんでマーク班。
高橋さん、自分でルイージ班に分かれ出発。
昨日釣ってきたパクーとピラニアがあるからとりあえず餌取りはしなくていいなと思っていたが船中どこを探しても見当たらない。
ルイージに聞くとみんなに均等に配ったらしい。なるほどそういうシステムか。それならしょうがないな。
…………………。
パクーどこの船にも乗ってねぇじゃねーか!
お前食っただろwwwwwww
そしてこの日も餌取りに苦戦する。
そもそもエリアは合っているのか?
徐々にルイージに不信感が募って行く。
かなり出遅れてキャンプ地へと到着した。
既にアラパイマを仕留めている上野さんは「オレ、キャンプしてるわ!」と余裕綽々。
そんな上野さんとガイアナレディをキャンプ地に残し僕等は昼飯が出来るまでアラパイマを狙いに出船。
しかし相変わらず口を使わない。
マーク班の里見くんはバラしてはいるものの数回喰わせてることを考えると何かやってる事が違う気がしてならない。
タイミングか?距離か?
飯を食いながら色々考えた。
色々考えたがそのままアタリは無くあっという間に夕方になった。船内に不味い空気が流れる。
翌日の事を考え少しでも餌を取っておこうとラーゴ内に湧いている手のひらサイズのピラニアを釣って行く。
この時点でルイージに対する不信感はピークに達していたが彼も彼なりに一生懸命やってくれているんだと自分に言い聞かせる。
ピラニアを釣って喜んでいるルイージ。
微妙にお茶目なところがあって憎めない。
ヘッドライトの明かりを頼りに晩御飯を掻き込む。
釣りがダメでもこういうのは物凄く楽しいな。
食後、再び出船するというので言われるがまま船に乗り込んだ。
完全な暗闇で一体自分達が何処にいるかすらわからない。ジャングルの彼方からはホエザルの鳴き声がこだまし、夜空を見上げると見た事もない程に無数の星が輝いていた。
そんなロマン溢れる状況とは裏腹に相変わらずアラパイマからのコンタクトは無く蚊の猛攻を受けただけでキャンプ地へ帰還。
1日音を立てない様に神経を使っていたせいかドッと疲れが出た。
カエルの鳴き声を聞きながらあっという間に爆睡。
夜中寒さで目が醒めると寝ている5m先にワニが居てちょっと肝を冷やした。
-5日目-
アラパイマを狙って今日で4日目。
なんとしてでも今日で決着をつけたい。
そんな想いとは逆に一晩考えたが良い作戦なんて思い浮かばなかった。
辛い。辛過ぎる。
全く喰う気配がない。
この日もアラパイマ達は反応を見せず夕刻が迫ってきた。万事休す…。
ロッジに引き上げる途中、今まで来たことのない小規模なラーゴに寄った。
しばらく奥に進んで行くと川幅は一気に5m程になりかなり狭くなってくる。
気配を消し進んでいるといきなりアラパイマが呼吸に上がってきた。
居た…。
ロッドを握り締め次の呼吸に備える。
ザバ……
進行方向へキャストしラインをフリーに。
その時を待つ。
1分位待ったろうか?弛んだラインを回収しているとキャストした方向と違う方へ向かっている。
きた!!
フルパワーで合わせを叩き込み一気にリフト!紅い鱗が船縁でもんどり打つ!!
きたきたきたぁぁぁぁ!アラパイマ!!
物凄い興奮と絶対にバラせない緊張感でもう無我夢中だった。狭いポイントで暴れ回るのを必死に抑え込む。
しかし周りの障害物に巻かれないよう力尽くで突っ込みを止めた時、無情にもロッドがテンションを失った。
自分の不甲斐なさに怒りが込み上げてくる。
抑えるのに必死だった。
帰り道、明日からの事を考えて居た。
アラパイマには既に4日も投じている。
このまま狙い続けて果たして勝算はあるのか?プレッシャーが掛り過ぎてもう口は使わないんじゃないか?そろそろナマズ狙いにシフトした方が良いのでは?
色々な事が頭の中を巡った。
なんとかこの悪い流れを断ち切らないと。
ルイージには悪いが明日は一旦船頭を代わってもらおう…。
ここでふとひとつの疑問が湧いた。
そもそも自分等はルイージの事を勝手に漁師だと思いこんでいたが実際はどうなんだ?
高橋さんがルイージに本職はなんだ?と尋ねた。
ル「ん?バードウォッチングだよ?」
マジすかw
なにこの凄過ぎるオチはwww
どうやらルイージの能力は水上では無く陸上で発揮されるらしい。
もっと早く知りたかったな!!
この日はアラパイマを逃した悔しさとルイージのまさかのカミングアウトの衝撃でなかなか寝付けなかった。